空中権売買
土地所有者が土地を利用する権利は、土地の地下から上部空間に及びます。
土地の上部空間の使用権利を空中権(空間利用権)といい、地下の使用権利を地下権などと区別したりもしますが、一般的には両方とも空中権としています。
土地の上部空間を利用するケースとしては送電線や建物と建物をつなぐ渡り廊下、人工地盤上の建物などがあり、地下の利用ケースにはトンネル道や地下鉄の敷設などがあります。
空中権は、容積率の移転というかたちで取引することができます。空中権の移転にともない対価が発生する場合、それを空中権売買と呼びます。
空中権売買の具体的なケースには、次のようなものが考えられます。
●都心部でのビルの建替え資金に
建替え資金がない場合、新しいビルの設計では容積率を目一杯使用せず、余剰容積を売却して、その売却益を建替え資金に充当する。
●歴史的建造物の修復・保存費用に
歴史的建造物には未利用の容積があり、将来的にも使用することがないので、空中権売買により修復・保存の資金を得る。東京駅の駅舎は空中権売買により約500億円かかる修復・保存費用を捻出した。
●マンションの大規模修繕費用に
建築基準法の改正でマンションの共用部分が容積から除外されたため、改正以前のマンションでは10%位の余剰容積が生じている。その空中権の売買によって得た売却益を修繕費にする。
●価値の下がった土地の借金返済方法として
購入した土地の値が下がった場合、その土地の容積を全て売却して売却益を借入金の返済に充当し、土地は駐車場にして駐車料金収益を返済に充てる。容積の売却先がマンションであればマンション用の駐車場として賃貸すれば固定資産税は1/6に減額される。
●老化した建物の資産対策として
古いビルや古アパートは現在の容積を充足していないものが多い。建て替えるには立ち退きが必要だが資金がない場合、余剰容積を売却して立ち退き資金に充当するか、売却益で他の資金運用を行う。
空中権の売買には、まだ課題も残されています。
容積が移転した場合の売買価格は、例えば裏敷地の未使用容積を表敷地に移転すると、取得価格は裏敷地の価格になるはずです。しかし、容積の対価は土地の売買と同様お互いの合意が条件ですから、双方の利害が調整された価格になり評価額の計算式はありません。
空中権の売買により、固定資産税・相続税の評価は減額あるいは増額されるべきなので、評価基準の改正も今後は行われるべきでしょう。
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2009年3月22日|
カテゴリー:空中権売買
